沢村賞は、今後どうなっていくのか?2019年度は、19年振りに該当者なし。

2019年の沢村賞の選考委員会は、10月21日に東京都内で行われましたが、結果は該当者なしということになりました。

 

沢村賞の該当者がいないのは、2000年以来19年振りということです。

 

沢村賞とは

沢村賞は、日本のプロ野球草創期の名選手である「沢村栄治」氏の栄誉と功績を称えて作られた賞で、その年に活躍した先発完投型の投手を対象としています。

 

沢村栄治氏とは

沢村栄治氏は、三重県出身の野球選手で日本のプロ野球の草創期に活躍した伝説の選手です。

 

中等野球全国大会(現在の高校野球)で活躍した後、1934年に読売新聞社主催で開催された日米野球に全日本チームとして参加し、あのベーブ・ルースやルー・ゲーリックとも対戦しています。

 

その後、現在の読売ジャイアンツである「大日本東京野球倶楽部」に入団し、プロ野球リーグが開始された1936年にプロ野球史上初のノーヒットノーランを達成するなど活躍し、巨人の初優勝に貢献しました。

 

1937年には、プロ野球史上初となるMVPに選出されるなどの活躍を見せていましたが、徴兵によって軍隊生活を余儀なくされ、一時球界に復帰しますが、引退。再度の徴兵によって1944年に戦死されました。

 

「ボールが浮き上がる」 と言われた豪速球投手でMVPに選出された1937年には、30試合登板、24勝4敗、24完投、 勝率8割5分7厘、244投球回、196奪三振、防御率0.81という信じられない記録を残しています。

 

沢村賞の選考基準は?

 

沢村賞の選考基準は、以下の7項目となっています。

 

  1. 15勝以上
  2. 150奪三振
  3. 10完投
  4. 防御率2.50
  5. 200投球回
  6. 25試合登板
  7. 勝率6割以上

 

上記に加え、近年の投手分業制を考慮して昨年からは先発7回以上、自責点3以下だった試合の割合を示す「日本版クオリティー・スタートの達成率」も選考基準に加わっています。

 

2019年の有力候補は

 

2019年の沢村賞の有力候補としては、 巨人の 山口俊投手、日本ハムの有原航平選手でした。両投手は、それぞれセリーグ・パリーグの最多勝投手です。

 

山口選手は、15勝、188奪三振、26登板、勝率7割8分9厘。有原選手は、15勝、161奪三振、防御率2.46、勝率6割5分2厘。両投手ともに4項目はクリアしていましたが、完投は、山口投手が0、有原投手も1でした。

 

メジャーリーグの影響か投手の分業化が進んでいるせいか、2019年は、200投球回、10完投という項目に到達した投手はいなかったんですね。

 

歴代の沢村賞受賞者

 

沢村賞は、沢村栄治氏が戦死した1944年の3年後、1947年に創設されています。

 

歴代の受賞者は、以下の通りです。

 

年度 受賞者 所属 勝敗 防御率
1947 別所 昭 南海 30勝19敗 1.86
1948 中尾 碩志 巨人 27勝12敗

1.84

1949 藤本 英雄 巨人 24勝7敗 1.94
1950 真田 重男 松竹 39勝12敗 3.05
1951 杉下 茂 名古屋 28勝13敗 2.35
1952 杉下 茂 名古屋 32勝14敗 2.33
1953 大友 工 巨人 27勝6敗 1.85
1954 杉下 茂 中日 32勝12敗 1.39
1955 別所 毅彦 巨人 23勝8敗 1.33
1956 金田 正一 国 鉄 25勝20敗 1.74
1957 金田 正一 国 鉄 28勝16敗 1.63
1958 金田 正一 国 鉄 31勝14敗 1.30
1959 村山  実 阪神 18勝10敗 1.19
1960 堀本 律雄 巨人 29勝18敗 2.00
1961 権藤  博 中日 35勝19敗 1.70
1962 小山 正明 阪神 27勝11敗 1.66
1963 伊藤 芳明 巨人 19勝8敗 1.90
1964 バッキー 阪神 29勝9敗 1.89
1965 村山 実 阪神 25勝13敗 1.96
1966 村山 実> 阪神 24勝9敗 1.55
堀内 恒夫 巨人 16勝2敗 1.39
1967 小川健太郎 中日 29勝12敗 2.51
1968 江夏  豊 阪神 25勝12敗 2.13
1969 高橋 一三 巨人 22勝5敗 2.21
1970 平松 政次 大洋 25勝19敗 1.95
1971 該当者なし
1972 堀内 恒夫 巨人 26勝9敗 2.91
1973 高橋 一三 巨人

 23勝13敗

2.21
1974 星野 仙一 中日 15勝9敗 2.87
1975 外木場 義郎 広島 20勝13敗 2.95
1976 池谷 公二郎 広島 20勝15敗 3.26
1977 小林 繁 巨人 18勝8敗 2.92
1978 松岡 弘 ヤクルト 16勝11敗 3.75
1979 小林 繁 阪神 22勝9敗 2.89
1980 該当者なし
1981 西本 聖 巨人 18勝12敗 2.58
1982 北別府 学 広島 20勝8敗 2.43
1983 遠藤 一彦 大洋 18勝9敗 2.87
1984 該当者なし
1985 小松 辰雄 中日 17勝8敗 2.65
1986 北別府 学 広島 18勝4敗 2.43
1987 桑田 真澄 巨人 15勝6敗 2.17
1988 大野 豊 広島 13勝7敗 1.70
1989 斎藤 雅樹 巨人 20勝7敗 1.62
1990 野茂 英雄 近鉄 18勝8敗 2.91
1991 佐々岡 真司 広島 17勝9敗 2.44
1992 石井 丈裕 西武 15勝3敗 1.94
1993 今中 慎二 中日 17勝7敗 2.20
1994 山本 昌広 中日 19勝8敗 3.49
1995 斎藤 雅樹 巨人 18勝10敗 2.70
1996 斎藤 雅樹 巨人 16勝4敗

2.36

1997 西口 文也 西武 15勝5敗 3.12
1998 川崎憲次郎 ヤクルト 17勝10敗 3.04
1999 上原 浩治 巨人 20勝4敗 2.09
2000 該当者なし
2001 松坂 大輔 西武 15勝15敗 3.60
2002 上原 浩治 巨人 17勝5敗 2.60
2003 斉藤 和巳 ダイエー 20勝3敗 2.83
井川 慶 阪神 20勝5敗 2.80
2004 川上 憲伸 中日 17勝7敗 3.32
2005 杉内 俊哉 ソフトバンク 18勝4敗 2.11
2006 斉藤 和巳 ソフトバンク 18勝5敗 1.75
2007 ダルビッシュ有 日本ハム 15勝5敗 1.82
2008 岩隈 久志 楽天 21勝4敗 1.87
2009 涌井 秀章 西武 16勝6敗 2.30
2010 前田 健太 広島 15勝8敗 2.21
2011 田中 将大 楽天 19勝5敗 1.27
2012 摂津 正 ソフトバンク 17勝5敗 1.91
2013 田中 将大 楽天 24勝0敗 1.27
2014 金子 千尋 オリックス 16勝5敗 1.98
2015 前田 健太 広島 15勝8敗 2.09
2016 クリス・ジョンソン 広島 15勝7敗 2.15
2017 菅野 智之 巨人 17勝5敗 1.59
2018 菅野 智之 巨人 15勝8敗 2.14
2019 該当者なし

過去には、2名選出された年もあった

沢村賞、過去には2名選出された年もあったんですね。

 

受賞基準からいくと「??」となる年も

 2001年の松坂選手。15勝はいいけど負けも15。これはどうなんでしょうね。

過去にも受賞基準からすると「??」となるケースがありますね。

 

沢村賞の選考委員は

2019年の沢村賞選考委員は、以下の方々。

 

  • 平松政次(1970年沢村賞受賞、通算201勝)
  • 堀内恒夫(1966年・1972年沢村賞受賞、通算203勝)
  • 村田兆治(通算215勝)
  • 北別府学(1982年・1986年年沢村賞受賞、通算213勝)
  • 山田久志(通算284勝)

 

皆さんすごい成績。さすが選考委員は、先発完投型を代表するそうそうたるメンバーですね。

 

堀内選考委員長のコメント

「野球のシステムが変わってきて、非常に完投しにくくなっている。クオリティー・スタート(QS)という項目を参考に入れているが、レベルを下げて完投なしでもいいとなると、沢村さんの名前に傷をつけてしまうような気がする」

 

平松政次委員のコメント

「山口と有原は甲乙つけがたい。ダブル受賞には成績が物足りない」

 

該当者ないという結論を出すのに選考委員の皆さんも苦慮した感はあります。

 

沢村賞の賞金は

沢村賞の受賞者には金杯と副賞300万円が贈られるそうです。

 

今後どうなる沢村賞

 

今回、19年ぶりに該当者なしとなったことで、沢村賞に対する色んな意見がでています。

 

選考委員が、先発完投型の実績ある人達なので今のスタイルに合わない。受賞基準が厳しすぎる。受賞者がない賞など意味がない。いやいや今の基準を守るべき・・・などなど。

 

 

 野球を愛する人達が色々な意見を出して議論するのは、悪いことではないと思います。

 

沢村賞が、今後どうなっていくのか。2020年に注目です。